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ゲーム系エンジニアでフリーランスを4年やってみて

2006年にゲーム業界に入り、コンシューマ→ソシャゲと本能の赴くままに渡り歩いて8年。
大手も中小も見てきたが、自分の思うような環境の会社には出会えなかった。

そこで2013年の秋頃から、1度正社員に縛られずにフリーランスとして
さらに色んな会社を見てみたい・経験をしたい、将来的に起業したいという気持ちで個人事業主になった。

それからもうはや4年が経過した今、個人事業主を廃業し、フリーランス生活を終えるつもりでいる。
起業の話もあったが、一緒に仕事をしていく中で馬が合わなくなっていき縁を切ってその話もなくなった。

そういったこの4年間で見てきたもの、感じたものを振り返りとしてこの記事に残した。
色々あったので書きたいことがありすぎて非常にめんどくさい。でも残すべきだと思った。

ほぼ要点だけになるが、これからフリーでやろうとか思ってる人が見た時に、
何か少しでも伝わればいいかなと。

個人事業主の生活について

個人事業主になると自分で確定申告をして税金を納めるので、その辺りの知識が必要。
その辺りの本はいくらでも売っているので1冊ぐらいは買って読んでおくべき。

今はWebサービスのfreeeを使用すれば収支の管理・申告も比較的簡単に行える。
特に面倒なことはなかった。

フリーになってからは個別に払うものとして

・国保、国民年金
・地方税
・予定納税

がある。

地方税は1年に4回、予定納税は3回(3回目は確定申告時)に分けて払う。(予定納税は開業年以降の年から)
特に予定納税は所得が増えるとべらぼうに払う額が上がるので、
収入が増えたからといって翌年仕事を少し空けたりするとごっそり持っていかれる。

自分のフリーでの最後の年は、客先がトラブって受託が決まった案件が
急遽無くなったりなどで次の仕事まで結構間が空いてしまって、貯金がかなり減った。
(某有名RPGのリメイク案件だったが、契約の商談の日に開発会社が変わって立ち消え)
まさに絵に描いたようなリスクを食らった。

都内にはそういう際の保証(一定額給与支払い)もしてくれるエージェントが最近出てきていて、
これから益々フリーランスは増えるであろう中でサポートも厚くはなり始めているかも。

エージェント経由での仕事の受託

フリーランス用のエージェントが都内にはかなり多く、
そこから仕事を受託して客先常駐で仕事を行う形になる。
リモートはほぼ無い。(ある程度信頼関係が出来ると可能なタイプがあるが、非常に稀)

商談はほぼ1回で済む。逆に1回しか色々と聞き出す事が出来ないので、
ほいほい頷いてると参画してから痛い目を見る事がある。
根掘り葉掘り聞いたほうがいいのと、社内見学は出来るならしておいたほうがいい。
あと社員の勤怠状況(稼働時間と朝ちゃんと揃うか等)も聞いておくべき。ここが反応悪いとほぼ100%地雷。

単価は高く、サポートや福利厚生もいいのでこの点に関しては満足した。
(まぁ福利厚生全然使ってないけど・・・)

しかし、この手のSES会社多すぎて日本ちょっと頭おかしいよなやっぱってのは思う。

関わった会社、プロジェクトとその結果

社名はもちろん明かせないが、4年で5社、8プロジェクトぐらい関わった。
(中には1社、ゲーム会社じゃない音楽系の大手の会社でUnityを使った開発をしていた事もある。)

が、その中で契約を最後まで完遂したのは1社だけだった。
(リリースに至ったのは8プロジェクト中1つだけ)
それ以外は様々な理由で途中で契約を切った。

切った際の理由は本当に酷く、

・自分がやっていた作業が、別の突然入ってきた人間もやっていた(情報共有なし)
・商談時に頼まれた内容とは全く違う作業を参画後すぐに任される
・参画時点で既に大炎上している(社員の稼働時間が月300超えが半年以上経過)
 →社員の勤怠がうんこ(昼2〜3時から集まり始める)
 →空調が死ぬほど悪い(換気なし、空気清浄機なし、社員は感覚麻痺)
・スケジュール管理があまりにもずさん(これに関してはほぼ全プロジェクトで破綻)

・・・などなど。

選んだ案件がことごとく地雷だったのかもしれないが、
どれも表向きはそれを全く見せない会社だったので、3年目ぐらいから
「フリーランスにまわってくる案件は大体うんこ」ってのに気付き始めた。

プラス、そもそもこのゲーム業界自体がソシャゲの台頭でうんこみたいな組織の会社が増えていたり、
それに乗っかってこようとするうんこみたいな人間がうんこみたいな見積もりでうんこみたいなプロジェクトを
やっているところが多い。(類は友を呼ぶ。うんこはうんこを呼ぶ。)

つまり、社員だろうがフリーだろうがうんこに関わると全てがうんこになる。
やはり会社というのは組織力であり1人でも地雷がいるとそこからほころびが生じて
周りを燃やしていくのはどこも変わりない。ゲーム開発はそこが顕著に出る仕事でもある。

また、この経験からゲーム開発は本当に「座組で決まる」という確信がついた。

これからゲーム系エンジニアでフリーになろうと思う人に伝えたい事

・案件の数は多いのでそこは大丈夫
 →でもスマホ案件ばかりなのでコンシューマは少ない

・エージェントはサポートが多いものがいい(案件数No.1とかはどうでもいい)
 →交通費補助、書籍代補助、生命保険半額負担とかまでやってくれるとこも出てきている
 →3,4社ぐらい登録して色んな情報を持っておいたほうがいい

・大体地雷・炎上案件ばかりがまわってくる流れになってる
 →ざっくり任される系はほぼ100%地雷
 →炎上するからこそ業務委託に投げる
 →確実に進めるプロジェクトはそもそも委託しない傾向
 →ていうかゲーム開発は座組崩壊時点で炎上するものなので、炎上しない方がレア。割り切るしか無い。

・「業務拡大/拡充につき〜募集」は大体人が抜けてるのでなるべく避ける
 →特にソシャゲで多いこれ
 →ソシャゲはうんこプロジェクトが本当に多く、炎上で人が疲弊して抜けたり辞めたりでその穴埋めでの外部委託は多い

・安全なのは大手案件、中小はこれからの時代は絶対に避けるべき
 →中小は人が採れず、古い人間が残っているだけなのでこれから確実に滅んでいく。
 →大手は炎上しても人員が追加出来る分マシだが、中小は人が根本的に足りない
 →つまり会社の体力があるところの方がプロジェクトが完遂しやすいので、その方が実績になる

・やるなら30〜35歳ぐらいの間がいい
 →若すぎても経験不足なので、ある程度実績を積んでからのがいい

・結局、関わる人で色々決まる
 →人を見抜く目は大事
 →運ゲー

・ぶっちゃけ、オススメしない(本末転倒)
 →業界事情的に、この国でフリーランスやってもあまり得がない。
 →が、外の世界を見るというのは本当にいい経験になる。
 →純粋にゲームエンジニアで生きたいだけなら、大手を転々とする方がマシかも
 →自分で理想の組織を作りたいとか、何か将来野望がある人にしか適さない

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  1. 2016.03.13

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