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実例から見るアンチパターン ②こんなマネージャクラスの居るプロジェクトは危ない – Part 1 –

本記事からは私の実体験を元にしたアンチパターンの例を紹介していく。

今回は「マネージャクラス」の人間についてのアンチパターン。

マネージャクラスというのは、

・プロジェクトマネージャー
・リードエンジニア(又はメインプログラマ)
・ディレクター

といった各セクションの長的なポジションと思ってもらっていい。

結論から言って、こいつらがダメだとそのプロジェクトはほぼ100%炎上する。
プロジェクトの良し悪しを見極める最初のポイント(にして最重要ポイント)はここだ。

このマネージャクラスによく居る危険因子を「アンチパターンの人間」として紹介する。

「Web上がり」である

ちょっと長い話なのだが、非常に重要なので最近の歴史を含めて説明させてほしい。

コンシューマの売上が衰退してからというもの、ご存知の通り「ガチャ」という恐ろしい錬金術を生み出し
スマホ普及の波に乗ってそれを流行らせたソシャゲ会社が台頭し、ゲーム業界を今も大きく掻き回している。
この影響でコンシューマからはかなりの人がソシャゲに流れた。(私もその1人だ。)

このソシャゲにも歴史があって、元はブラウザのポチポチゲーだった。
ブラウザ上でユーザーのアカウントを作ってログインして、サーバのデータをやり取りするのが基本だ。

今までのゲームとは大きく異なるというか、従来の形からすると「異物」だ。
画面に表示されるものはブラウザによる「Webページ」なのである。

当然、Webページなのでこれらを作っていたのは「ゲーム屋」ではなく「Web屋」だ。
コンシューマのように開発機なんてものもなく、そこらによくあるホームページを作る感覚で
ゲームが作れてしまう、何ともライトな世界だ。根本的に使われている技術や環境が違っていた。

そして、このブラウザのポチポチゲーはスマホやユーザーのプレイ体験の進化と共に、徐々に

「ネイティブアプリ」

に移行し始めた。

ネイティブアプリによるゲーム開発は、ほぼ完全にゲーム屋の畑のものだった。
メインループが存在し、表示されるものはWebページではなくちゃんとしたゲーム画面に変わっていった。
Unity等によるゲームエンジンによる開発がベースとなり、開発環境はコンシューマとほぼ一緒になった。
(ごく一部例外はあったがその話は要らない)

ソシャゲの標準がネイティブアプリになってからというものの、
この技術的に畑が移行した段階で、炎上プロジェクトが大量に発生した。

その理由は単純明快・痛快すぎて想像に難くないと思われるのだが、
ソシャゲ会社は元はWeb屋だったからである。

彼等は「ゲームを作るノウハウがない」。
正直、これでは炎上しても当たり前というレベルなので、彼等を責めてもしょうがなくはあるが、
当時はそれを自覚出来ていた人間など業界全体でも指で数えるほどしかいなかったのではないだろうか。

畑が変わった時点で、Web屋は「Web上がり」の新参ゲーム開発者と化した。

新規で立ち上がる沢山のネイティブアプリのプロジェクト。
当時それらの多くをマネージメントしていたのが、ノウハウの無いWeb上がりの人間だった。
今もまだそういう所はあるだろう。

ゲーム作りなのに、そのノウハウのないWeb上がりの人間がマネージャクラスにいるようでは
端から見ても炎上しないほうがおかしいのである。

ノウハウや経験のあるコンシューマの人間を上手く扱えなかったり、
理解不能な要件・スケジュール・作業見積もりを出したり、言い出せばキリが無いレベルで酷かった。
そのくせして意識だけはべらぼうに高い傾向があり、それが炎上に輪をかけていた。

ソシャゲ業界に来てからというものの、ことゲーム開発に関して思うのは
「ゲーム屋とWeb上がりでは根本的に感性が違う」
という事だ。

もはや人種が違うレベルに感じる。文化が違いすぎる。
どこぞの記事でも書かれていた気がするが、水と油の関係に近い。

これは私的な経験から来る主観だが、Web上がりの人間はゲーム開発をナメている傾向がある。
ゲーム開発の技術と歴史はかなり広く、深い。それをまず理解していないのが多い。

「ノウハウ無いけどやればマネージメント出来ます」→大炎上 のケースは本当に沢山見てきた。
炎上するプロジェクトというのは、その先成功する確率は低く、ペンディングになる事も多い。

なので、昨今のゲーム開発プロジェクトのマネージャクラスにWeb上がりが居る場合は、
もはやそれだけで既にアンチパターンと化しているので、細心の注意を払う必要がある。

例えネイティブアプリ移行後に実績を作っている人間だとしても、安心してはいけない。
きちんとゲーム開発の難しさや技術的な側面に向き合えている人間かどうかは、確認しておいたほうが良いだろう。


例外として、サーバ周りの部分のマネージメントをしているだけであれば問題は無い。
その他の専門外をやらせてはいけない。要は適材適所であるかどうかが重要。

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